1人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうして開けてくれないんですかー」
「あなたが気持ち悪いから」
「そんなぁヒドいですーー!」
私が涙声を挙げると、ドアを挟んだ向こう側にいる美人は少し沈黙した。
「―――、違ったわ。あなたじゃなくてあなたのうしろにいるヤツが最高に気持ち悪いからよ」
「うっうしろ? 私のうしろに何かいるんですか?」
「ええ、いるわ。おぞ気がしてくるくらい凄いのがね」
「な、なんですかその恐怖心を芽生えさせる言い方はーー!」
私は情けなく半泣きになりながら戸を叩きまくった。
うしろに何かおぞ気がするくらい凄いのがいると言われたら振り返れない。振り返れないのなら帰るに帰れないじゃないか。
「いれでぐだざいっ!!」
「嫌よ。それに、べつに、大丈夫よ。あなた霊感無いでしょう? 見えないじゃない」
「はっ、そういえば!」
私は霊感ゼロ、つまり零感なのであった。
だから振り返っても全く、全然、何も見えないはずだ。大丈夫大丈夫大丈夫。
私はそう繰り返しながら後ろを振り返り、そうして目に飛び込んできたものは――――。
「キャーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」
最初のコメントを投稿しよう!