謎の襲撃

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 十中八九、こいつらが犯人だろう。本音を言えば、顔面に風穴を開けてやりたい。  けれど、今やりあって俺が死んでしまえばなにもかもが無意味になる。本国に死体を回収されないのはもちろん、この国に存在が露呈されたとしても、本国は関係を否定するだろう。  こんな時ほど、自分が国の捨て駒だってことを痛感する。  今は………………走れ! たとえ一人になったとしても!  もしかしたら、生き残っている人間がいるかもしれない。しかし、今は自分だ。自分の身を守ることだけに専念しろ。  森の中を疾走している間、俺の頭には仲間の助けを求める声が響いていた。聴力は完全には戻っていない。幻聴だってことは分かってる。分かってるはずなのに胸が軋む。
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