第1章

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外の冷たい空気で冷えた僕の身体には、樹の腕の中はすごく温かく感じる。 樹にぴったりくっついていると、ほのかに香水の香りがした。 樹は、バイトの時だけは香水を使う。 といっても、キツイ感じではなくて、近くに寄ると微かに香る程度。 そんな細かいことにも気を配れるのが樹。 バイト中は言葉遣いも違うし、名前も「遼」と名乗っている。 幾つも仮面を持っているけど、僕の前では素でいてくれる。 それが一番嬉しかった。
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