きよしこの夜

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きよしこの夜

吸血鬼と狼男―その争いは2000年にも及んだ… 唯一の敵、唯一の同士 始まりの発端は些細な、ほんの些細な出来事だった。それから徐々に争いの輪が広がり吸血鬼と狼男の巨大な争いとなった。 だが彼らはもうその発端を忘れてしまっていた… それでも、争いは続き、いがみ合い、殺し合い、そして世界は暗黒の時代を迎えた― 『おいで―』 満月の光が遮られるほどの住宅密集地、所々欠けたレンガが建物の歳月を感じさせられる。そのなかの一つの窓が内側から開かれた。入り込んだ風とともに紙屑が部屋に入り込んでも窓を開けた主は気に止めない。 キィ― 少し高い音をたて開いた窓から覗いた少年の目は虚ろで視線が定まっていなかった。 『さぁーこちらへ―――』 黒く長い指が手招きしていた。  
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