オシゴト

13/19
前へ
/55ページ
次へ
その日はクリスマスイブだった。 あたしたちは、とあるビルの前にいた。 あたしもアヤもカレシがいなかった。っていうか作らなかった。 アヤはモテる。 あたしもまぁそこそこはモテる。 お互いに遠慮してたワケでもない。 お互いに作りたくなかっただけだった。 街ではうるさいくらいのイルミネーション。 精一杯着飾って、笑顔で渡すんであろうプレゼントの袋を持った男女が、それぞれの相手を待ち、それぞれ消えていく。 『イブって感じだね~』 アヤが両手を口に当て、寒そうに白い息を吐きながら言う。 『うん。みんなこれからイブデートだね~』 『メイは?』 『はっ?!アヤといるじゃん』 2人で目を合わせて笑った。 何してんだろうね… きっとお互い言いたかったコトバ。 そんなことを思ってたら、目の前に黒のベンツが止まって、助手席の窓が開いた。 今日のお客さん。 あたしたちは年中無休。 お客さんも年中無休。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加