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その日はクリスマスイブだった。
あたしたちは、とあるビルの前にいた。
あたしもアヤもカレシがいなかった。っていうか作らなかった。
アヤはモテる。
あたしもまぁそこそこはモテる。
お互いに遠慮してたワケでもない。
お互いに作りたくなかっただけだった。
街ではうるさいくらいのイルミネーション。
精一杯着飾って、笑顔で渡すんであろうプレゼントの袋を持った男女が、それぞれの相手を待ち、それぞれ消えていく。
『イブって感じだね~』
アヤが両手を口に当て、寒そうに白い息を吐きながら言う。
『うん。みんなこれからイブデートだね~』
『メイは?』
『はっ?!アヤといるじゃん』
2人で目を合わせて笑った。
何してんだろうね…
きっとお互い言いたかったコトバ。
そんなことを思ってたら、目の前に黒のベンツが止まって、助手席の窓が開いた。
今日のお客さん。
あたしたちは年中無休。
お客さんも年中無休。
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