24人が本棚に入れています
本棚に追加
何が目的なんだろう…
2人ともそう考えていた。
あたしとアヤがバスタオルを巻いておじさんの前に座る。
おじさんは何も言わずにスーツのポケットからサイフを出して、あたしたち2人の前に10ずつ置いた。
『欲しいんだろう?受け取りなさい』
『じゃあしなきゃ…』
アヤがか細い声で言った。
『何もしなくていい。』
おじさんは言う。
あたしたちは初めて顔を見合わせた。
『何もしなくていいからそれを受け取って帰りなさい』
あたしたちは困った。それを受け取って普通に帰って、いつもみたいにそれを使うことが出来るのか…
何か裏があるんじゃないのか…
色んな気持ちが浮かんでは消えた。
『…あたしは受け取れません…』
本心から出たコトバだった。
『…あたしも…』
アヤも断った。
『何でかな?だって君達はお金が欲しいんだろう?』
にっこり微笑みながらおじさんは優しく聞く。
『…何もしてないのにもらえない…』
あたしは言った。
『…これだけもらって何もしないなんておかしいです!何かあるんですか?!』
アヤは怒っていた。
というより不安になったのかもしれない。
あたしたちをまっすぐ見て、おじさんは言った。
今までの優しい顔を急に真顔に変えて。
最初のコメントを投稿しよう!