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長い長い沈黙の後、おじさんは言った。
『まずは好きな人を作りなさい。…そしてその人とセックスをしなさい。』
あたしたちは小さな子供みたいに、首を縦に振るだけだった。
するとおじさんは、また始めの優しい顔に戻って言った。
『今日はクリスマスイブだったな。…そのお金はまだ人間の心を忘れてない君達へのプレゼントだよ。好きなように使いなさい。』
普通に聞いたら、身の毛もよだつようなコトバだろう。
あたしもアヤも大嫌いなきれいごとだ。
けれどあたしは自然と涙を流していた。
きっと誰かに止めてもらいたかったんだ…
あたしもアヤも…
待ち合わせたビルの前でおじさんはあたしたちを降ろしてくれた。
街はうるさいぐらいのイルミネーション。
あたしとアヤはその日、本物のサンタクロースに出会ったんだと思った。
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