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ギャーギャー喚くテラに微笑みを浮かべれば、さっと身を翻し彼女に背を向けた。
「え!?ちょ…っ、待ってよ!鍵!約束したからそれくれないとウチの面子が…」
テラが慌てて追い掛けようとすると、男はさっと振り返り追い掛けてこようとする彼女を手で制した。
柔らかな手つきだが、そこには有無を言わさぬオーラがあった。
「ご安心を。私が直接行きますから…彼女にはきつく言っておかないと……」
男は微笑み、そう告げれば背に広がる黒マントを翻し静かに去っていった。
足音もなく暗闇に消えた相手に、サラはため息をつき目にかかった前髪を掻き上げた。
ふわりと浮き上がった髪の下で、紫の瞳が寂しく輝いた。
「バーカ…それじゃサラの思惑どおりなんだよーだ…」
呆れたような、どこか苛立ったような声音で、彼女は一人そう呟いた…
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