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ドタドタドタドタ・・・
黒い書を手にとり眺めていた男は、不意に目を細めた。
「またですか…」
小さく零せば、甘い吐息をつく。
赤い輝きを放つ瞳を閉ざし、書を元の位置に戻せばゆっくりと手を放した。
妖艶なその動きは、人ではありえない美しさを放っていた。
男は一歩後ろへ下がると、闇に溶け込むように姿を消した。
夕闇に沈んだその部屋では、先程まで男が手にしていた書のみが月明かりに照らされていた。
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