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「風亜っ!おはよ!ね、ね、キスって何ナニ?」
「……げ、月山嫌い」
月ちゃんの明るい声に、奈緒は平然と、冷水をぶっかける。
絶対、ワザと聞こえるように。
固まる月ちゃんをよそに、奈緒は手をヒラヒラさせて、背を向けた。
「ま、ノロケは昼休みにね」
(な、なおぉお!)
この状況で、あたしを廊下に置いていかないで欲しい。
気を取り直した月ちゃんの目に、ハートマークがチラチラ浮かぶ。
「風亜が、あんな女と仲イイの、わからないな。
……で?」
(で?……って?)
ガッチリと腕を組まれて、ニッコリと微笑まれる。
「……で?」
(そんなぁ!昨日のコト、言えってかぁ?!)
愚かにも、田中くんを試そうとして
ファーストキス未遂の挙げ句、ママが目撃……
自転車と、田中くんを残したまま
ママの車に拉致られて、とんでもない誤解をされてる最中……なんて。
(月ちゃんたちには、無理!)
月ちゃんは、あたしと同じ匂いがする娘。
おしゃべりで、本物の恋愛と無縁で……無責任。
今まで一緒に野次馬していた時は、あたしだって楽しかったけれど。
(ひぃ、助けてぇ……)
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