不思議な感じ!

4/10
31人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
「そっか!おめでと! キスまでしちゃって、このこのぉ! 田中くんねぇ……ま、お似合いじゃん」 まだ、何にも言っていないのに 月ちゃんは、勝手に一人で納得して、盛り上がっている。 (わあん、今まであたしが噂話した人たち、ごめんなさいっ!) 心の中で、いたく反省。 あたしも、こんな風に、他人の恋を大騒ぎして楽しんでいた。 月ちゃんを、責められないし、憎めない。 ……けれど…… 「やめて、月ちゃん! 田中くんと、別に、付き合ってないからっ!」 「……へっ?! だって、クラス中で、噂持ちきりだよ! またまたぁー、照れるなって!」 「本当だってば! 田中くんなんて、別にイイオトコじゃないし、好きじゃないもん!」 「……相田……」 廊下の空気が、ピキッと凍った。 いつの間にか……本当にいつの間にか あたしの背後に、田中くんが立っていて…… その手には、あたしの自転車の鍵。 「……コレ……」 (今の、聞かれた?!) 能面みたいな、彼の顔。 あたしの手に、鍵を押し込む。 クルッと反転して、どこかにダッと走り去ってしまう。 (……田中くん……)
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!