不思議な感じ!

5/10

31人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
(……どうしよう……) 絶対、彼を傷つけた。 女の趣味は、イマイチ理解出来ないけれど あたしを好きなのは、本気だと思う。 (なのに、あたしってば……冷酷非道だ……) 「風亜っ!追いかけなっ!」 月ちゃんだけでなく、クラスの娘の何人かが あたしの背を、一斉にポンと押した。 「うん!」 あたしは、アテもなく校舎の中を走り出す。 (いないよぉ!どこ?) 陸上部の足に、鈍足のあたしが追いつくはずもなくて…… 「田中くん、見なかった?」 「田中?どの田中?」 顔見知りとすれ違うたびに、聞いて回る。 (田中……下の名前、わかんないし!) 「えっと、フツウの田中くん!」 「はぁ?」 「いいや!ごめん」 結局、また、探しに走る。 軽快な校内放送が、朝のショートホームルーム開始を知らせる。 (もう!どこ行ったの?) ドラマなら、授業をサボって屋上って感じだろうけれど…… 屋上に出入り可能なほど、管理の甘い学校じゃない。 (それに、サボるなんて、とんでもない!) 保護者に、即連絡がいく。 これ以上、ママにうるさく言われるなんて、耐えられない。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加