不思議な感じ!

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ユウキくんに、恋してるわけじゃない。 周りの娘みたいに、本物の彼氏は欲しいけれど…… あたしには、まだ、踏み出す度胸は無い。 (ふわふわだけで、いいや!) あたしは、生身の普通の男の子の手を、握り返してみる。 生まれて初めて、ほんのちょこっとだけ…… 「風亜……最低!極悪!」 「風亜……ダメだよ!」 中休み。 女子トイレの脇の、例の初告白の廊下の隅っこ。 左右を奈緒と華絵に挟まれて、サラウンドで非難の声。 「田中、可哀想なヤツ!」 「田中くん、可哀想じゃない!」 「だって……初めて好きって言われたんだよぉ」 出来るだけ、小さくなる。 二人には、平均並みのあたしの気持ちが、わからないのかも。 「ちゃんと、フってやれよ!」 「ちゃんと、付き合ってあげるんだよ!」 初めての不協和音。 二人は、顔を見合わせる。 「能天気な顔して、生殺しかよ!」 「のん気な顔しちゃって生殺しだよ!」 再び、セリフがかぶって…… あたしたちは、一斉に吹き出した。 廊下に連なる窓の外は、昨日と変わらず、ぽかぽかお天気。 ふわふわと、真っ白な雲。
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