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「……好きなんだ」
(やっぱり、そうか!
頑張れ、青少年!)
「すごい、自分でもビックリするくらい、好きなんだ……」
ほっぺたが赤い、だけじゃない。
よく見ると、握りしめた両手が、微妙に震えている。
「付き合ってくれないかな?」
(田中くん、ちゃんと、真剣!
絶対、合格だ)
華絵とお付き合いを始めるのは、意外と簡単。
でも、長続きさせるのは、けっこう大変だ。
授業開始の本鈴が鳴る。
あたしはニッコリ笑って、急いで答えてあげる。
「うん、大丈夫だよ!
一応聞いてみるから、放課後まで待っててね」
「……えっ?いい…の…か……?
やったっ!よろしくなっ!」
小さくガッツポーズを決める、田中くん。
あたしに向ける瞳まで、子犬みたいにキラキラ輝いている。
「でも、聞いてみるって……親に?
厳しいの?」
華絵の家は、男女交際推進派。
ウチの親と正反対で、羨ましいぐらい。
「ご両親は、大丈夫だと思うけどさ。
一応、華絵本人に確認してみないとね。
期待してていいよ、田中くんなら!」
「うわぁぁあああ!」
(何っ?
田中くん、一体全体どうしたの?)
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