31人が本棚に入れています
本棚に追加
もっとドキドキして、嬉しくて、ちょっと照れくさくて……
を、初告白に期待していた、妄想癖のあたし。
(せめて相手が、転校してきた幼なじみの男の子!とか)
そんな男子は、この世に存在しないけれど。
(やけに美形の生徒会長が、俺様告白してきた!とか)
会長は、色白で人の良い、ただの優等生だ。
田中くんは、陸上部だった気がする。
でも、大会だとか、インターハイだとか、派手な話は聞いたことはない。
でも、学校内で注目されるような悪い噂も、流されたことはないはずで……
本当に普通の、田中くん。
(あたしも、普通だしね!
……って、ホントに、あたしかぁ?!)
あたしは、別に綺麗じゃない。
学年で一番綺麗だと思っている、奈緒だって
アイドルになれる、ってほどじゃないけれど。
それでも、あたしより、断然美人。
頼みの綱の性格だって、取り立てて……
「……ぅぁ、ふうあ……」
隣の席の月ちゃんが、必死であたしをつついている。
「相田さん、訳して」
月ちゃんが、教科書を指さしてくれていて
平静を装いつつ、しどろもどろの和訳を、ひねり出す。
(田中くんの、あほ!)
最初のコメントを投稿しよう!