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真面目でも、優等生でもないけれど
予習だけはやっておく。
(小心者のおかげで、今日は助かった……けどっ!
……あ……)
田中くんが、後ろを振り返っていて……
(……笑った……)
田中くんなんて、何とも思ってないのに。
不覚にも、あたしの顔は茹でダコ状態で
あわてて、教科書で隠していた。
(何コレ?何でぇ?!)
で。
放課後。
うちの学校には珍しい、自転車通学のあたし。
今、なぜだか、田中くんと歩いている。
駅への大通りと正反対の、静かな住宅街の細い道。
黄色い自転車を挟んだ横顔は、お昼休みと違って、黙ったまま。
別のクラスの奈緒にも華絵にも、相談しに行く暇もない。
クラスの男子どもに、めちゃくちゃ陽気に祝福され……
五十センチしか離れてない月ちゃんにすら、話もできない状態で。
すぐさま、二人、学校から追い出されてしまったのだ。
春の午後、辺りはのんびりしているのに
あたしの内側は、嵐が起きそう。
(好きだって言っときながら、田中くん嬉しそうじゃないし!)
心にチクッと、疑念がわく。
(もしかして、告白って
……男子の罰ゲーム?!)
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