第一話

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青い空、白い雲。 心地よい春のそよ風が吹き、緑の大地を揺らして行く。 緑の絨毯に寝転がり空を見上げ、流れる雲をただ眺めてた。 そんな心安らぐような時にも俺は思い出してしまう。 俺はいつも一人だった。 生まれたときから魔力が無く、両親に捨てられ孤児院に入れられた。 孤児院に入って俺は一人ではなくなった。 たった10日。 されど10日。 嬉しかった。楽しかった。幸せだった。 けど、 その幸せは脆く消え去った。 一人また一人と俺の周りから人が離れていった。 10日たったとき俺の周りには人が、いや人間が居なくなった。 そして“一人”となり、“独り”ともなった。  
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