月夜の教会で

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―――コツ…コツ…コツ… 真っ暗な廊下に透の足音が響く。 「やっとお越しになられましたか…」 暗闇の向こうから、ヒドく冷静な声がした。そして、声の主はそれまで座っていたソファーから、スッと立ち上がる。 「お待ちしていましたよ」 その時、月の光が射し込んだ。 透の目に映った光景は、何処かで見たことのあるものだった。 「ここは…?」 「教会です」 透の呟きに、闇の向こうから、静かな声が答える。声の主は、光の指す方へとゆっくり歩みよってきた。 ―――コツ…コツ…コツ… 「!!…お前は」 月明かりに照らされたソイツの顔は、透を驚愕させるのに充分過ぎた。 「進藤ッ!!」 そう、透の目の前にいたのは、死んだ筈の進藤だったのだ。 「お前…何で?…あん時お前は確かに…」 「『死んだ筈』とでも?フフッ。確かに死にましたよ。彼は…ね」 進藤は、いや、進藤の顔をした誰かは、不敵に笑う。 「お前、誰や?」 「おや?あの時確かに自己紹介した筈ですよ?忘れたのですか?なら致し方無い、お教えしましょう。私の名は『死の宣教師』。…そして今宵はあなたの命をいただきたく思います!!」 「なっ!?」 「死の宣教師」は進藤の顔のマスクをひっぺがし、透に襲い掛かってきた。透は逃げようとしたが、足がすくんで動かなかった。 「覚悟なさい」 冷たく静かな声が耳を撫でると共に、死の宣教師の手が透の喉元に触れる。 「う…うわ~!!!…あっ」 悲痛な叫び声だけがこだました。
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