もう少し

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 近頃、猿が煩い。 勿論そこいらの猿の事ではなく、悟空の事だ。  「さんぞぉ、好き」 「煩い」  まただ。アタマ湧いてんのか? 暑いとオカシイ奴が出てくるというが、コイツはまさにソレなのではないか? 「好ーきー」  いっぺんシメるか。 …と思った所で、いっぺんで終わった試しはない。 兎に角、ここ一週間程ずっとこの調子なのだ。 そういや、八戒となんか話し合ってたな…。 アイツに何か変なこと吹き込まれたのか? そんなことはどうでもいいが、とりあえず…この猿はどうにかならないだろうか。 毎日毎日同じことばかり繰り返されて、もう耳にタコだ。 「好きだってば」  「悟浄? 最近、三蔵の物腰が柔らかくなったと思いませんか?」  宿屋で同室になった八戒が、持っていた湯飲みをテーブルに置くと同時位に話しかけてきた。 「あ? そうかぁ? …んー、そう言われればそんな気もしなくもねぇな」  言われてみれば。 前よりやたらに銃ブッ放さなくなった…ような? 眉間の皺が減った…ような? 「…なぜに?」 「いえ、ちょっと」  八戒はそう言って、ニッコリと笑ってみせ、またお茶を飲み始め… バンッッ!! 「ぉわっ?!」 「八戒っっ!!」  勢いよく開けられた扉の音に驚いた悟浄は、思わず声を上げたにも拘らず、悟空はそれを無視して八戒を呼んだ。 「やっぱダメだ!」  入ってくるなり即行八戒の向かいに座り、間髪入れずに話し始める。 「何がよ?」  横から悟浄が割って入る。 「大人の話だから悟浄には内緒っっ!!」 「はぁ?! 俺のが大人じゃんよ」 「外見だけジャン」 「テメこの野郎ッ!麻雀だって未だに出来ねぇクセによ」 「あーもうスイマセン、それどころじゃナイんです!! あっち行って下さいコノ野郎」 「(怒)」  渋々、悟浄はベッドに倒れ込んだ。 「ごじょーイヂケちゃう」
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