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「懐かしいね、ゆーちゃん」
小さな居酒屋。ジョッキに入ったビールを飲みながら、へにゃっと笑いつーのさんがふと口を開いた。
今でも信じらんない。
二ヶ月前の、今日。同僚に無理矢理誘われたまたま参加した合コンの席に、つーのさんはいた。一目惚れだった。
つーのさんの席は人ひとりを挟んだ右側。ビール片手にへらへら女の子に向けて笑顔を向けているつーのさんの顔が、酷く幼く見えて。
「どうした?雄輔」
ただ問題がひとつ。
オレは男で、つーのさんも男、ってこと。
合コン来て男に惚れるなんて生まれて初めて、人生初のはず、なのになのに。
全く戸惑ってない自分に、むしろ戸惑いを感じる。
「席、代わって」
既にデキあがってる隣の奴に耳打ちして、返事も聞かぬ間に無理矢理どかしてつーのさんの隣へ。
とにかくオレはつーのさんと話したくて、その綺麗な黒い瞳にオレを映して欲しくて、まだそんなに減ってないつーのさんのジョッキにビールを注いだ。
途端にへ?って顔してオレを見る。にって笑って、上地ですととりあえず自己紹介してみた。
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