赤い糸

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「あーうん上地くん?鶴野です…って、そーじゃなくてぇ」 「ほらほらつーのさん、飲んで飲んでっ」 「ありがと…って、だからそーじゃなくて!なぁんでボクのに注ぐのよ。オンナノコに注いだげなよ」 「あー…注ぎますよ」 「?ふぅん」 まぁとにかくありがとさん、とへらりと情けないくらい眉尻下げて御礼言われる。素直に可愛いと思った。 最初の自己紹介で元気よく30代のつるちゃんでーすなんて言ってた男に対して、可愛いなんて形容詞ヘンテコかもしれない。 だけど、そう思った。他の感情なんてすべておまけ。もっと言うと必要ない。 言った手前、目の前で「ゆうちゃ~ん」なんて言ってコップを手にオレの前に出してくる女にビールを注いで、ガタンとビンを置く。 まだ、機嫌良さそうにつーのさんはげらげら笑ってた。  
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