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「……そうか」
高崎は頷くことで返事をした。
(こいつは何も悪くないのに)
三崎達は斎藤の所へつき、斎藤の言葉を待った。
「よし、全員そろった。行くぞ」
斎藤はそう言ってライカに目を向ける。
「うん」
ライカは白衣のポケットから灰色のテレポーターを取りだした。
「由香里、NOAのリーダーは何処にいるか分かる?」
「う~ん。一応どこで戦闘の指揮を取っているかは知っているぞ」
三崎は左手で、テレポーターを受け取る。
「この戦いを終わらせるぞ」
三崎はそう言ってテレポーターを持った左手を突き出した。
(高崎を日常に戻す)
そう決意しながら。
***
三崎にテレポーターを渡したライカは高崎の背中を見つめた。
高崎は肌が見える所ほぼ全てに包帯もしくは湿布を貼ってあり、頭に巻いた包帯が痛々しい。
テンダースーツに隠れているところにも怪我が広がっているのは治療の時に分かっている。
ライカが一度左に眼を向けると、青木が高崎を怯えた表情で見ていた。
彼女の胸が痛くなる。
(これも私のせいだ。私が圭介にバーサーカーの存在を教えなければ圭介はこんなことにならなかった。……けど、多分今の言葉を言ったら圭介は怒るだろうな)
ライカは少し顔を歪めて笑った。
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