悪の組織

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「香織、謝って」 「え?」 青木は間抜けな声を出してライカに振り向いた。 高崎もライカの言葉は意外だったようで、少し目を丸くした。 「圭介に謝って」 「副主任、こいつは!」 青木は今だに倒れている和田に視線を向ける。 圭介が困ったように何処か悲しむように苦笑いした。 (確かに高崎は和田をあんなにボロボロにしたよ。けど、それは私のせい) 「香織。それでも圭介に謝って。もし謝らないなら君をここに置いていく」 ライカは冷たく青木を見た。 「ッ!? ……ごめん」 青木はしぶしぶといった様子で高崎に謝った。 「……いや、良いよ」 青木の言葉に高崎はまた笑った。 (ごめんね香織。あなたが圭介を怖がるのも無理ないのに) ライカは一度目を伏せる。 しかし、それを高崎に気づかれてしまった。 「ライカ? どうした?」 「いや、えっと、うんなんでもない」 「そうか」 高崎は深くは追求しない。 それにライカは涙が溢れそうだった。 (また、心配かけた) 「よし。NOAのどこにテレポートするか決まったぞ」 離れていた三崎と斎藤がライカ達に歩み寄ってきた。 「じゃあ早く行こう」 「ああ、みんな私の近くに」 三崎の言葉にライカ達は彼女の周りに集まった。 三崎はそれを確認し、テレポーターを突き出した。 「よし、……テレポーター発動――」 (早くこの戦いを終わらせる) ライカは高崎の背中を見ながらそう思った。
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