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「ぜぇぜぇ、下僕……汗を拭きなさい」
「はい、了解です!」
「ごふっ、ごふっ……鍛練しなきゃ」
「ば、馬鹿ですかリーシャ!動くんじゃありません」
「ウ、ウル君~。体が熱いよ。し、死んじゃうよ~」
「だ、大丈夫ですよ。ルナちゃんは死なないですからね~」
地獄です。地獄絵図です。
「ウル君……ボク汗が……」
「わかった、今拭きます」
「いや~、ボクに触れちゃダメ~!」
「じゃあどうすれば良いのですか!」
何故か今、このワルキューレ様達の間には季節性の風邪が流行ってしまっているのです。ちなみに昨日から俺は一睡もせずに看病につきっきりです。
「リリスちゃーん。お願いします、本は少し置いてこっちを手伝ってくれませんか?」
この家で唯一風邪にならなかったのは俺とリリスちゃんだけなんです。だけど頼みの綱のリリスちゃんが本ばかり読んでいるので困っているのです。
「リリスちゃん、悪いけどルナちゃんの額の汗を拭いてもらってもいいっすか?」
「……コクっ……」
頷いて濡れタオルでルナちゃんの額を拭き始めるリリスちゃん。助かりました、リリスちゃんは無口で無表情ですが、案外言うことを聞いてくれます。
「……下僕、私が死んだら貴方を呪い殺しますわ」
「ごふっ、ごふっ……あたしも。あんただけホゲホゲと生かしとく訳にはいかないわ。絶対殺す」
「あんた達ただの風邪で死ぬとか言ってんじゃないですよ。ってか何故俺殺されんすか!」
まあこんなことを言えるヤツらがただの風邪ごときで死ぬはずがありません。
「よし、俺ちょっと出ますから。みんな何かの時はリリスちゃんに言って下さい」
「なっ、どこへ行くんですの、下僕!ぜぇぜぇ、私達を置いていくのですか!」
「あ、あんた薄情にもほどがあるわよ!」
「ウル君~。ボク達を見捨てないでよ~。ウル君がいなきゃボク達死んじゃうよ」
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