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「あー……さっむい。」
綺麗で由緒正しき寺の真横にある、廃れた事務所。
そこに一人の少女がいた。
「心霊商法だの、インチキだの好きに言っちゃってさあ。あー、むかつく。
由緒正しき二階堂家の山神様に対してインチキだなんて!
あのババアの整形顔のがインチキよ!」
「まあま、落ち着きなさいな、初美。」
「あわわ!狐様!」
ふわり、と揺れた視界の先には大きな尻尾と耳の狐…正しくはお稲荷さんであろう者がいた。
「だって、酷いんですよ狐様。」
彼女、二階堂初美とその相棒、二階堂家の所有する山に住まう山神、常山絹江(つねやまきぬえ)。
稲荷神社に奉られた絹江を、初美は昔から狐様と言って慕っていた。
「そうね…でも、私や神様、霊の姿はそこいらの人間には見れないからねえ」
不思議な力で事件を解決してしまう彼女、二階堂初美と相棒のキヌエ。
学園のみんなはこう呼んでいた…
心霊探偵二階堂初美、と。
「狐様、人型なんかになられて、どうしました?」
絹江は山神であり、普段は人には見えない。
だが、絹江が変身したりすれば、通常の人間にも見えるのだ。
「私だって、たまには遊びたいのよー…あら?」
「よぉ、初美!」
「こんにちわ。初美ちゃん」
「学くん、さっちゃん。」
心霊探偵団団長、宮下学(ミヤシタマナブ)とその下僕、丙榊(ヒノエサカキ)
「ちわっ、キヌエさん。」
「こんにちは。」
「こんにちは~、相変わらずさっちゃんは女の子みたいでかわいいね~」
一応、この二人以外のクラスメートにはキヌエを従姉妹ということにしている。
この二人も心霊探偵であり、探偵だ。
だから狐の時のキヌエが見えるのだ。
「えっと。今回学園探偵団に来た依頼がだな…」
「深夜に理科室から謎の怪音がします、そして肝試しに深夜に理科室に入ると神隠しに会うと聞きました。
友人が肝試しを実行すると言って、理科室に行きましたが帰ってきません。
もう3日前からです。
家にも帰ってないようです。
お願いです、友達を助けて!!」
榊がキヌエに、何かを目で訴える。
「キヌエさん、これ…」
「ああ、こりゃあ妖怪か悪霊の仕業だねー」
「こんなの、サックリ簡単に終わらせてあげるよー!」
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