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此方に歩いてきた金髪の男と目が合う。
「テメェ何見てんだ!!」
「いっいえ!!」
「チッ!!」
そう舌打ちして金髪の男は僕を通り過ぎて車に乗って走り去っていった。
「…こっ怖かったぁ」
「おい、スマンな」
「…え?」
声に振り向くと話しかけてきたのはスーツを着た男。
「いや、アイツが八つ当たりしてさ」
「いえ、そんな…」
スーツの男は背格好から見て何だかヤバそうな人だ。
「今アイツ追われてて苛立ってんだよね、許してやって」
「あっ…はい」
そう言われてもびっくりしすぎて何が何だかわからない。
「自首しろって言ってんだけどさ、したらしたでヤバイんだわ、だからここで言い合ってたのは誰にも言わないでくれ」
「自首…」
「スマンな、けど言ったらただじゃおかねぇからな」
「はっ…はい」
確かにただじゃ済まなそうだ。
「じゃあな」
「…」
とりあえず道を抜けて駐車場に行き車に乗った…
…自首?
その言葉で嫌な事を思い出した。
忌々しい記憶…目を閉じてあの日を思い出す。
倒れている零香を見付けたあの日の記憶、車に乗っていたのは…
アイツだった。
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