憎悪…………第十二章

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「まだ…近くにいるか」 考えるより先に車を走らせていた。 さっきの金髪の男を探す… 「…」 金髪の男は大通りの方へ歩いていった、時間はそんなにたっていない… 運良く大通りを真っ直ぐ進んでくれているならまだ追い付ける距離だ。 「…」 猛スピードで周りの車を抜かして金髪の男を探す。 しばらく走ると先程金髪の男の乗った車が大通りを左折して中道に入って行くのが見えた。 「…見つけた」 静かに、気付かれないように金髪の男の車を追って行く。 途中車が駐車場に止まり金髪の男が車から降りた。 金髪の男はマンションの中に入って行く。 それをライトを消した車の中からずっと見続ける、幸い部屋の入り口は駐車場側に面しているみたいだ。 そして男は階段を上り、こちらから見える部屋に入って行った。 辿り付いた部屋は…9階。 「…」 車のエンジンを切ってマンションの中に入る。 階段を登り、金髪の男が入って行った部屋の前についた。 部屋に名札は無い、ドアノブに手をかける。 鍵は…かかっていない。 ドアノブをひねり中に入ろうとしたその瞬間……… 手の痕が目に入った。 「……何やってんだ俺」 ドアノブから手を離し、車に戻る。 「…ハァ」 思わずため息が出る。 「何してんだろ……」 再び吐いた言葉だった。 金髪の男だとわかってから思わずここまで来てしまった自分の行動が分からなかった。
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