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そんな状況でも、僕の中では充実した日々だった。
そんなある日…。
僕達がまだ辞めず、苦しいながらも楽しんで働いている居酒屋である事件が起こった。
それは…店舗売上の横領、
「マジかよ…………」
流也もかなり落ち込んでいた、当然だろう、信頼していた仲間が裏切ったのだから。
そして何よりその人はこの居酒屋の料理長だった。
まだ29と言う若さだったが料理に対して真面目な人だった。
ただ、間が指したのか、それとも欲望に負けたのかは誰にも分からない。
「とりあえず開店しよう…」
そう立ち上がって僕に告げる流矢。
「あっああ…」
僕はほぼ空返事でしか答えられなかった。
店の雰囲気もいつもと違う雰囲気だった。
「いらっしゃいませ~!」
仕事が始まってしまえばお客さんは待ってくれない。
そして横領の件はお客さんには何の関係も無い。
お客さんはいつもの店を望んでいる、僕達はそれに答えるように接客を心がけた。
そんな中で、こちらをずっと見てくるお客さんが目についた。
そのお客さんはソワソワしながらチラチラこっちを見ている。
何とも気になって仕方ない、とりあえずこのままでは仕事にならない為一度注文を促しに行こう、そう思ってそのお客さんのいるテーブルに足を進めた。
「失礼致します、お客様ドリンクの注文などはございませんか?」
「えっいや…はっはい!」
…何だか妙に困っている。
突然来たからビックリしたのだろうか?
アタフタしている…。
「きゃ!!」
そして少し余っていたソフトドリンクを溢した。
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