ドラえもんがいない

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これで思い出してくれるかな? そんな少しの希望を、この時はまだ持っていた。 まだ、諦めていなかった。 でも、意味はなかった。 三人共、僕の事を不思議な目で見るんだ。 僕の事を“可哀相な目"で見るんだ。 「えっと…それは夢の話かしら?」 しずかちゃんの優しい言葉も、僕を苦しめるだけ。 みんな、ドラえもんの事を覚えてないんだ。 知らないんだ。 「僕…帰る」 そう言い残して、僕は家に帰った。 自分でも驚くほど、冷静だった。 「ただいま…」 「お帰りなさい」 この日は、ぼんやりと過ごした。 晩ご飯は何だったのかも覚えていない。 もしかしたら、食べてないかもしれない。 毎週見逃さずに見ていたテレビも、見なかった。 「ドラえもんが…いない…」 布団に入って、横になってから、初めて涙が出た。 「ドラえもん…ドラえもん…」 今までの事は、全て僕の夢だったの? 溢れ出した涙は、止まらなかった。
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