9人が本棚に入れています
本棚に追加
すぐさまベッドに横たわる。冷房のせいで少し寒かったから、冷房を消した。外からは、風が吹き込んできている。窓を開けておくのも悪くないと思い、私は眠気に意識を埋めた。
翌日、私の心にはいつものような鬱陶しさは無かった。外を見たら、曇っていた。少し湿気もある。雨が降ったのだろう、窓に水滴が付いている。
私はKの元へ行った。この男は毎朝早い。そこは尊敬に値する上司であった。
「お早う。まだ8時だが、連れてこさせよう」
私の顔を見るなり、Kは言う。私はお早うございますと、それだけ言った。
研究員が、少女を連れてきた。10歳前後だろうか。だが髪は白く、肌も白い。おまけに、服も白だ。上から下まで白である。
「静〈シズカ〉君。少しこの人の言うことに答えてもらうよ。なに、ただ君に質問するだけだ」
Kが言う。白いマスクが動いたような気がして不気味だった。
“分かりやすい嘘を”
私はまた脳内で声を聞いた。それは昨日聞いた声であった。私は少女に視線を注いだ。
研究員が少女、静を促し、私はその後に続く。いつもの拷問部屋に着いた。自分は、ここでしか仕事をさせてもらえないのだなと思った。
研究員が退出し、2人きりの空間になった。私は何も言わず、少女も何も言わない。
仕方ない、と私は思い、口を開いた。
「私の名は旭、旭 徹だ。君を尋問しろと言われたが、何について尋問するのか分からないのだ」
ひときしり、私は喋った。だが少女は答えない。私は少し考えた。どうしたものだろうか。
「なぁ、何か喋ってくれ。面白くない」
私はそう言い、彼女の答えを待った。
最初のコメントを投稿しよう!