第一章

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日も沈み始めた夕刻。門下生達は皆帰った筈の道場から木刀のぶつかり合う音が響いていた 勇「セヤッ!・・・ハァッ!」 祖父「・・・」 勇が、木刀を縦に振り下ろすと、祖父はそれを僅かに身体を横にずらし避け、すぐさまお返しとばかりに突きを繰り出すと、勇は一瞬だけ木刀で受け止めるとすぐにバックステップで一旦間合いを置き、すぐさま距離を詰めなおす 祖父「ふむ・・・」 端から見れば両者一身一体の攻防を繰り返してる様に見えるが。勇の表情は真剣なのに加え必死そのものなのに対し、祖父の方は余裕のある表情で、時より「ふむ」とか「ほう」等とまるで勇の太刀筋を見定めているような声が漏れている 勇(やっぱ、本格的に隙を突かないとかすりもしないか・・) 間合いを置きなおした直後にそう考え、一瞬の間の後に今までと違い、大振りのなぎ払いを放つ 祖父「・・・」 そこで祖父の表情が少し険しくなるが、それでも勇の攻撃はあっさりと避け、反撃とばかりに木刀を振り下ろす 勇「ハッ!」 短い掛け声と共に、勇は返す刃で自分の頭上に迫る木刀を横に打ち払う。すると祖父はバックステップで距離を置きつつ、横に弾かれた木刀の勢いを流すために身体を回転させる。その途中一瞬だけ勇に背を向ける瞬間が生じ 勇(狙い通りっ。とった!!) その隙を逃さず、追撃で突きを放つ
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