love.1

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あれは、確か私達が中2の頃… 私の双子の兄・水輝(ミズキ)はやけに喜んでいた。 彼女ができた、と… 「泉水!俺の彼女の朱夏(アヤカ)」 彼女だと紹介して来た時は、すごくショックだった。 水輝とは校舎が違って、学校ではほとんど会うことはない。 …私の知らない間に…って、思った… 水輝の彼女・朱夏さんはすごく綺麗な子で、でも同い年。 ほとんどというか全然話したことはない。 「み…ずきのバカァ!」 私はそれを言うことが精一杯で、言い逃げのようにその場から走り去っていた。 いつも一緒だったお兄ちゃんが離れていくことが堪らなく嫌で… 浮かぶ涙を拭かずに渡り廊下をがむしゃらに走っていく。 霞んで前が見えないことなんて気にならない。 ドンッ! 「ぅにゃっ!」 誰かに当たったはずなのに、逆に私が尻もちをついてしまう。 「大丈夫?」 聞いたことのある声。 顔を上げると、そこには水輝の親友の坂上翔(サカノウエショウ)。 私はこの男が大っ嫌いだ! 「平気よ!」 差し延べてくれる手を払いのけ、私は立ち上がって再び駆け出した。 坂上は2年の春に、水輝が友達になったムカつくヤツ。 何よりも許しがたいのは四六時中、水輝の側にいる! それが一番許せない! 故に、大っ嫌い! ──水輝に彼女ができたこと、今思えば…ただ…悔しかった…
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