第壱章:撃てない軍隊

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「エルボー1の脱出は確認したか?」 「いえ……」 「間も無く増援と、浜松から発進した飛行警戒管制隊のE-767が到着する」 事態の悪化を想定し、空中管制機E-767が緊急発進し現場に向かっていた。 程なくしてE-767から通信が入る。 「こちらはAWACS(エイワックス・早期警戒管制機)E-767 、コールサインはビア1。エルボー2及びエルボー3、4、そちらをレーダーで確認した。これより各機は当指揮下へ入れ」 「……了解」 「目標は現在遁走中。攻撃は許可できない。エルボー2は直ちに基地へ帰還せよ」 「し、しかし……!!」 「貴機に途中で墜ちてもらっては困る。あとは救難隊に任せて帰還しろ、これは命令だ」 「……了解……」 眼下には機体の墜落で泡立つ海面と、立ち上る黒煙が見えていた。 高度は20000ft以上。 メートルに直せば約6000m である。 機体と共に墜落して助かる高度ではないことは高濱も分かっていた。
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