第弐章:新なる門出

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速度が上がり、コパイが離陸中止可能限界速度「V1」を通告する。 滑走中に機体に問題が発生し離陸を中止した場合、滑走路内で安全に停止できる限界速度の事である。 「V1」は、またの名を「決心速度」と言い、この速度を越えてから例えエンジンが片方停止したとしても離陸を強行しなくてはならない。 「V1」はその時の機体の重量、滑走路の状況等により予め計算が成されている。 「VR」 機体が引き上げ速度「VR」に達し、操縦輪を手前に引き寄せる。 揚力を得た主翼は機体を空へと引っ張って行く。 「V2」 「V2」とは、「V1」の2倍の速度に達した事を示す。 機体に問題は無く、高度計も忙しそうにぐるぐると回っている。 「ギアアップします」 「NAHA departuer JAY-OCEAN 3601 airborn,1500 for 8000」 「JAY-OCEAN 3601 radar contact,direct YURIX,turn heading 030,climb and maintain flight level 150」 『日本トランスオーシャン航空3601便、レーダーで捉えました。ユリックスへの直行を許可、方位030へ変針し、高度15000ftまで上昇、それを維持して下さい』 「Roger,JAY-OCEAN 3601」 沖縄本島の北方 東シナ海上空「JAPANESE AIRFORTH 001 in sight,RAPIER 01」 『こちらレイピア01、JAPANESE AIRFORTH 001を目視した』 「Roger」 高濱はレーダーのスイッチを入れた。 直ぐさまスコープに反応が現れる。 「Radar contact,290/25,ALT angel 35,speed 500,RAPIER 01」 『レイピア01、方位290度25マイル、高度35000ft、速度500ノットの目標をレーダーにより捕捉』 「Roger,that's your target」 『了解した。それが目標である』 「RAPIER 01 roger」 「目標は特別輸送機の後方に位置しているが、追尾の意思があるかどうかは明確ではない。目視確認後、通常の対領空侵犯措置のマニュアル通りの音声警告を開始せよ」 「Roger」 高濱は機を翻し目標へと向かっていく。 「Target spotting.国籍不明、フランカー2機」 「国籍不明とはどういう事だ?」 「機体に国籍記号らしき物を確認できず。指示を請う」 「……了解した。通常通り、音声警告を実施せよ」 「RAPIER 01 Roger」
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