第弐章:新なる門出

7/12
前へ
/28ページ
次へ
高濱は目標機をよく観察したが、米軍機のようなロービジ塗装がしてあるわけでもなく、それらしい記号はどこにも見当たらない。 政府専用機の言う通り中国軍機の可能性は高いが、国籍表示が無いのではしょうがない。 「Attention,Attention,Attention」 『注目せよ、注目せよ』 「Flying over East China sea」 『東シナ海を飛行中の航空機に告ぐ』 「This is Japan national defense airforce.You are now approaching Japanese air domain.Take reverse course immediately」 『こちらは日本国防空軍である。貴隊は日本国の領空に接近さている。直ちに針路を反転せよ』 高濱は英語で語りかける。 中国語でも警告を促してみるが、目標機にこれといった反応は無い。 「目標機の行動に変化無し。写真撮影を実施する」 「了解。領空まで20マイル、領空侵犯に備えよ」 2機の国籍不明のSu-27フランカーがフレームに収まる。 再び警告を繰り返すが引き返す気配は無い。 高濱は思った。 もしや、八島先輩の仇なのではないかと。 「領空侵犯、領空侵犯機と判定された!誘導方位190」 遂に目標は領空へ侵入。 5マイル前方にはJAPANESE AIRFORCE 001が、後方10マイルにはJAPANESE AIRFORCE 002が飛行している。 高濱は強い口調で、再び警告を実施する。 「Warning,Warning,Warning!」 『警告、警告!』 「You have violated Japanese air domain!You lead nearest airport!Turn heading 190」 『貴隊は日本国の領空を侵犯している!貴隊を最寄りの飛行場へ誘導する!方位190へ変針せよ』 強制着陸させるため針路の変更を指示するが、目標機に変化は無い。 「Follow my guidance!Follow my guidance!」 『指示に従え!指示に従え!』 それでも引き返す素振りは全く無く、漫然と飛行を続けている。 「目標機の行動に変化無し。警告射撃実施を具申する。RAPIER 01」 「了解。警告射撃実施を許可する」 「警告射撃実施許可、了解。We'll give you signal firing!We'll give you signal firing!」 『我々は貴隊に対し警告射撃を実施する!』
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加