第弐章:新なる門出

8/12
前へ
/28ページ
次へ
たが、操縦桿のトリガーを引き絞ろうとした瞬間、目標は急激に旋回。 180度変針し逆方向へと向かった。 「RAPIER 01、目標の反転を確認した。警告射撃中止。引き続き目標の監視に当たれ」 「RAPIER 01 roger」 程なくして目標は領空を離脱していく。 しばらく進むと、すぐ横をJAPANESE AIRFORCE 002が通過していく。 そこでGCIは帰還命令を出した。 「RAPIER 01,RTB(Return To Base)」 『レイピア01、帰還せよ』 「Roger RTB」 高濱と蔵増は帰還のために機体を反転さた、その時だった。 同時に目標も反転、加速した。 目標の針路上にはJAPANESE AIRFORCE 002が飛行している。 「GCI!目標は再度反転、JAPANESE AIRFORCE 002へと向かいつつあり!指示を請う!」 「レーダーで確認した。ここは公海上だ、勝手な真似はするな。再度監視任務を与える」 「Roger」 次の瞬間、目標の片翼に閃光が走り、白煙が前方へスルスルと伸びていく。 「AIRFORCE 002、ブレイク!ブレイク!!」 高濱は咄嗟に叫んだが、フレアも積んでいない鈍重なB-747-400にこれをかわす術は無かった。 発射されたR-73は左翼内側のエンジンを直撃。 パイロンごとエンジンを吹き飛ばしかと思うと、その場所で主翼が無残にも切断されてしまった。 左右の揚力のバランスが崩れた機体はすぐさま左へ横転を始めた。 「メーデー、メーデー、メーデー!JAPANESE AIRFORCE 002,uncontrol!JAPANESE AIRFORCE 002,uncontrol!!」 『JAPANESE AIRFORCE 002、操縦不能!!』 高濱と蔵増は回転しながら墜ちゆく機体をただ見つめるしか無かった。 「GCI!発砲許可を!」 高濱はうなる様に言った。 「ここは公海上だ。正当防衛以外での交戦は許可できない」 レシーバーからは驚くほど冷静な声が返ってくる。 「特輸機が墜とされたんだぞ!分かっているのか!?」 「落ち着け高濱一尉。目標変針、別の航空機へと向かっている。……レイピア、目標は日本トランスオーシャン航空3601便、民間機を目標にしている。目標、再び領空に侵入。警告に応じない場合、これを敵と識別。撃墜せよ」 「RAPIER 01 roger!」 高濱は再び警告を与えるが、例の如く反応は無い。 すぐさまGCIから命令が下った。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加