第弐章:新なる門出

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「RAPIER 01,現時点を以て監視対象を敵と識別。領空より早急に駆逐せよ。発砲を許可する」 「RAPIER 01 roger!SWORD engage!」 『レイピア01了解!ソード、交戦!』 「CHAKKU engage!」 『チャック、交戦!』 高濱はすぐさま敵1番機に襲いかかった。 「Guns guns!」 高濱は後方上空より機銃を発射しつつ急降下。 しかし敵機はすぐさまそれに気づき左方向へ回避する。 蔵増は高濱に付いて行けず、ワンテンポ遅れて降下に入った。 高濱が敵機の横をすり抜けると同時に敵機はすぐに機首を高濱へと向け後方を陣取る。 警報機が泣き叫ぶが、高濱は「それがどうした?」とでも言わんばかりに、エアブレーキを立てると同時に上昇急減速。 敵機のオーバーシュートを狙った。 狙い通り敵機は高濱の下方を通過。 同時に高濱は左に急速横転、操縦桿を手前に引き寄せ背面降下しつつ、操縦桿のトリガーを引き絞った。 M61 20mmバルカン砲が唸りを上げる。 しかし、後方から敵2番機が食い付いてきた。 高濱はフレアを射出しつつ左へ回避。 が、その間に敵機はJTA 3601便との距離を詰めていく。 その時、高濱を援護し敵2番機を追尾していた蔵増から無線が入る。 「目標は胴体下ハードポイントにアッダー2発を装備せり!注意されたし!」 アッダーとはロシア製空対空ミサイル、R-77のNATOコードネームである。 R-77 NATOコードネームAA-12アッダーは中距離のアクティブレーダーホーミングミサイルで、性能はアメリカ軍のAIM-120 AMRAAM(アムラーム)よりも長射程、高機動と言われている。 Su-27の胴体下ハードポイントといえば、エアインテークのカバー下に各1発分。 2つのエンジンの間に縦に2発分だ。 ぱっと見て確認できたミサイルは翼端のランチャーに搭載されたR-73だけだったので、おそらく後者に搭載されているのだろう。 高濱は機を反転させ、敵1番機の腹にR-77が装着されているのを確認しようとした。 その時、敵機から白い槍状の物体が分離し、コンマ数秒の間を置いて白煙を引きながらJTA 3601便の方向へと向かって行った。 「敵機アッダー発射!!繰り返す、アッダー発射!!」 R-77は撃ちっ放しが可能なため、今から発射母機を攻撃しても意味が無い。 全てが手遅れだった。
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