第弐章:新なる門出

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ミサイルは一直線にJTA3601便へと飛翔していく。 JTA3601便はそれを回避するどころか、後方からミサイルが迫っている事など知るよしも無い。 那覇コントロール 「NAHA control, JAY-OCEAN 3601. passing YURIX」 『那覇コントロール、こちら日本トランスオーシャン航空3601便。ユリックスを通過中』 「JAY-OCEAN 3601, turn right heading 040, climb and maintain flight level 270」 『日本トランスオーシャン航空3601便、方位040へ向け右へ旋回し、高度27000ftまで上昇して維持してください』 「Roger, turn right heading 040,climb and maintain flight……」 突然、JTA3601便からの通信が「ブツッ」と言って切れた。 その2、3秒後、無線機が勝手に別の周波数にチャンネルを合わせた。 管制官が周波数を見ると、周波数は243.0MHz、国際緊急周波数の通称「ガード・チャンネル」と呼ばれる周波数に合わせられていた。 「メーデー、メーデー、メーデー、こちらJAY-OCEAN 3601!! 機体後部に異常発生!!後部与圧壁、ラダー、エレベーター用全油圧パイプ破損!!」 「JAY-OCEAN 3601、原因は分かるか!?」 「原因は不明だが後部で爆発を確認した!!現在当機は急降下中!!高度12000ft!!」 「リカバリは可能か!?」 「リカバリ不能!!JAY-OCEAN 3601墜落する!!JAY-OCEAN 3601墜落する!!」 RAPIER隊 「クソッ!!」 JTA3601便の最期の叫びを聞きながら、高濱は操縦桿を握り締め自らの非力さを悔やんだ。 「GCI、JAY-OCEAN 3601の墜落を確認した!!救難隊の出動を要請する!!」 「既に準備に掛かっている。敵機が北西へ逃走を図っている。追尾せよ。オーバー」 「Roger!!」 「……RAPIER 01、たった今発令された最優先命令だ。目標の追尾を続行しつつ、攻撃を控えよ。以上だ」 「撃墜するなという事か!?」 「そうだ、現在AWACSがそちらに向かっている。レーダーで追跡し、当該機の所属を確認するとの事だ。別命あるまで、目標機の追尾を続行せよ」 「……了解」
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