第弐章:新なる門出

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沖縄北方EEZ(排他的経済水域) 日本国防海軍潜水艦 「SS-596くろしお」 「くろしお」は同海域にて哨戒を行っており、領空侵犯時にはシュノーケルを露頂しての充電を行っていた。 そのために通信アンテナも海上に出しており、データリンクにて現状も把握していた。 「艦長、空軍が交戦中の機がこちらに向かっているようです」 「空はどうしようもないな。充電の進捗状況はどうか?」 「98%完了しております」 「良かろう。エンジン停止、吸排気弁閉鎖、各マスト類下げ。深さ25」 「深さ25了解!ベント開け!」 メインタンクに注水が施され、艦が浮力を減じ潜行していく。 「深さ25!」 「くろしお」は「我関せず」と言わんばかりに潜行し、哨戒を続行しようとしていた。 が、事は空だけで終わる話しではなかった。 「ソーナーに感!9時方向深さ30に一軸推進音聴知!」 「我が軍の潜水艦か?」 「我の艦ではありません。現在音紋を解析中です」 現在当海域を行動中の日本の潜水艦はいない。 堂々と向かってくる辺り、どうやらこちらには気付いていないようである。 「解析出ました!214型潜水艦合致!!」 「韓国海軍か。何のつもりだ?」 「総員戦闘配置!!魚雷戦用ー意!!」 RAPIER隊 「敵機までの距離が縮まらない!!未だ目視できず!」 「敵機は貴隊から20マイル以上離れている。敵機は国境まであと5分で到達する。」 その直後、レーダーに映る敵機の高度表示がぐんぐんと下がり始めた。 「GCI、敵機の高度が急激に下がり始めた!」 「こちらからも確認した。敵機に損傷を与えているのか?」 「敵機への命中弾は確認していない」 そうこうしている内に遂に敵機のブリップがレーダーから消えた。 「現場へ急行し、事実を確認せよ!」 ブリップが消えた地点にはの立ち上る黒煙と、その海面に機体の残骸が浮遊していた。 「敵機の墜落を確認。乗員は脱出した模様。……なんだあれは?……潜水艦だ!!潜水艦が浮上してきた!!」 「何だと!?国籍は!?」 「国籍は不明!!敵機乗員の救助に来たと思われる!!」 高々度ではその艦型を識別する事はできない。
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