第壱章:撃てない軍隊

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「Roger, contact tower. Thanks」 『了解、タワーと交信する。ありがとう』 滑走路手前に近づいたところで管制はグラウンドからタワーにハンドオフされた。 「KADENA tower, ELBOW flight, on your frequency」 『嘉手納タワー、こちらエルボー編隊、そちらの周波数に合わせました』 「ELBOW flight,wind 020 at 5,runway 23L(レフト), cleared for take-off」 『エルボー編隊、風は方位020より5ノット、滑走路23Lからの離陸を許可する』 2機は滑走路中心から左右に1機ずつ停止する。 「Runway 23L,cleared for take-off」 『滑走路23Lより離陸する』 2番機の高濱は「ツー」と応じる。2番機了解の意である。 八島機が離陸を開始した。 アフターバーナーを点火した機体は直ぐさま機体を150ノットにまで加速させ、難無く機体を空中に持ち上げる。 1番機離陸から15秒後、高濱機はブレーキを踏み込んだまま、確認のためエンジンを片方ずつミリタリーパワーに入れる。 「ズゴォ、ズゴォ」とエンジンが唸りを上げ回転が正常に上がるのを耳と回転計で確認した後、高濱はスロットルをアフターバーナー位置にぶち込んだ。 ブレーキを切った瞬間、機体はスルスルと加速を始め、滑走路中央の白帯が次々と後ろに流れていく。 あっと言う間に機速は150ノットに達し、高濱は軽く操縦桿を手前に引く。 機体は難無く空中に浮かび上がった。 「ELBOW flight,contact departuer.Good-rack」 『エルボー編隊、ディパーチャーと交信せよ。幸運を祈る』 「Roger, contact departuer.Thanks」 「Tow」 2機は無事に離陸、編隊はディパーチャーと交信し、安全な航路の指示を仰ぐ。 「KADENA departuer,ELBOW flight airborne.Leaving 1800, for 5000(ワンサウザンドエイトハンドレッド、フォー・ファイブサウザンド)」 『嘉手納ディパーチャー、エルボー編隊離陸しました。現在1800ftから5000ftへと上昇中』 「ELBOW flight,radar contact,turn heading 270(ツーセブンゼロ),climb and maintain 8000」 『エルボー編隊、レーダーで捕捉しました、方位270度へ旋回、高度8000ftまで上昇しそれを維持せよ』 「Roger」 「Tow」
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