第一章

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『そ、そんなことありません! 1つの世界が消えると空間の調和が崩れて大変面倒なんですよ。 滅亡しそうな世界はいくつもあります。そしてその世界ごとに最も適した人材を送り込み、対処をしているのです』 「神様も大変なんだな……」 『そうなんです。それで、行ってきてくれますか?』 どうする。話は現実離れし過ぎて夢じゃないかと思いもする。 だが意識があまりにもはっきりしている。 だとすれば俺は死んでいて、この話は本当と信じるしかない。 「そうだな……行くよ。 別の世界ってのに興味がある」 もしかしたら俺の日常は、これで変えられるかもしれない。 生き返るとかは二の次でいい。 『どもです。ありがとうございます。 どうぞ、これを持って行って下さい』 腕時計と手のひらサイズの一枚の厚紙を渡された 時計はベルトがシルバーで文字盤は黒を基調としている。 試しにつけてみると、不思議と腕にしっくりくる。 しっくりきすぎて取れないまである。 「っておい。つけてみたらこの腕時計……腕から取れないんだが」 『その腕時計は危険を予知する能力が備わってます。 世界を無事救った時、その時計は腕から外れます。 その本の方はおまけなんですが……ついでに連れていってあげてください。助けになるかもしれません』 なぜか今まで説明された諸々よりも、腕時計がもう外れないことにかなり衝撃を受ける。 しかし常に流されて生きてきた俺としては、こんなことでうろたえてはしないのだ。 「な、なるほど。この紙っぺらは本なのか? 両面、驚きの白さなんだけど用途を詳しく」 『ではそろそろ飛ばしますね。 頑張ってきて下さい』 「え、なになにもう行く感じ? 紙については割愛すらなしってもう無視じゃね おいちょっと」 『はい。じゃあ行ってらっしゃい』
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