頼りなき希望

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男の次の目的地は、第三の魔物であるケルベロスがいるという西の大陸だった。 男の希望で、同行こそはしなかったが、別行動で俺も西を目指した。 歩き続けて3ヶ月くらいは経っただろうか。やっとのことで西の大陸に着いた時、最初に立ち寄った集落で一つ、噂を聞いた。 『ケルベロスが誰かに倒されたらしいぞ』 『どこかの村の勇者が倒したらしいが、その勇者もひどい出血で死んだらしいぞ』 男が死んだという噂だった。百聞は一見にしかずと言うことで、ケルベロスがいたという場所まで赴いてみた。 そこは洞窟で、入り口に立っているだけでも物凄い血の臭いがした。今まで聞いてきた話によれば、まだ誰もこの洞窟には入ったことがないらしく、この血の臭いだけで、ケルベロスが死んだと思ったらしい。そのケルベロスを倒したと言われている勇者も、かれこれ一週間、洞窟から出てきていないらしく、これまた死んだと思われていたようだ。 奥へ進む度に血の臭いは強烈なものとなっていき、最深部へ到着した時には、激しい吐き気に襲われるほど血の臭いは強くなっていた。 そこには、白目を向き、仰向けになって倒れている尋常じゃないほどの大きさの犬と、いかにも勇者と分かるような鉄の鎧を着て倒れている人間が『あった』。
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