社会人の恋愛ショートストーリー集

ふわり、ホワイトクリスマス

アパートの鍵を掛けて通りに出る。吐いた息が白くモコモコになった。今日は３連休明けの火曜日、年の瀬。健児は残業だろうか。トボトボと歩く歩道に白い粒が点在する。

「雪かあ」

……ホワイトクリスマス。

確か去年も雪が降った。
そして去年も一人だった。
健児は残業で私は定時で上がった。

今年のクリスマスも一人。きっと来年のクリスマスも一人。そしてその翌年も、翌々年も私は一人なんだろう。交差点の目の前で歩行者用信号が点滅して赤になる。

立ち止まる。

寒いのに足止めを食らって、缶ビールなんて買ったって、待ち人は来ないよって言われてるみたいだ。

空を見上げる……。