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「あつっ」
不意に胸元に燃える様な痛みを感じて、鏡を手で掴んだ。
指の間から光が漏れている。
鏡自体が光を放っていた。
燃える様に熱い鏡から手を離すと、不思議な光景が目に映った。
鏡に入っているはずのひびがどんどん塞がっていく……
それと同時に目の前の大きな鏡が虹色に光る。
虹色にぼやいていた光はだんだん集結し、やがて別の風景と一人の少年を映し出した。
あるはずのない風景、見たことのない服装──…
そして、会ったことのない少年。
彼の手にもまた、光を放つ鏡があった。
「あなたが私の運命の人?」
無意識に出た言葉に驚いて、自分で自分の口をおさえる。
何故だか、その言葉は言ってはいけない気がした。
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