プロローグ

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鏡に映った少年は困った様な顔をして、こちらを見ている。 少女もまた、彼を見つめ返した。 手を伸ばせば、彼に触れられるような気がして少女は鏡に掌を近付けた。 指先から掌へゆっくりと鏡にくっつけていく。 鏡特有のひんやりとした冷たさが、掌の先から伝わってくる。 彼もまた、鏡を挟んで少女の掌に掌を重ねた。 少女より一回り大きい手が鏡越しに重なる──…
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