~掌の向こう側~

2/2
前へ
/241ページ
次へ
『誰かの為になら、人はどこまでも強くなれる』 そのセリフの後は、決まって亡き母の自慢話だった 「母さんは綺麗な人だったんだぞ、おまけに強くてな─…」 そう延々と自慢話を聞かせたのち、最後にこう付け足す 「その鏡は母さんの形見だからな、いつも持ち歩けよ」 お守り袋に入れられた、掌におさまるくらいの小さな鏡 母さんの形見っていうなら、父さんがいつも持っていればいいじゃないか… 幼い頃、何度そう思ったことだろう
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加