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『誰かの為になら、人はどこまでも強くなれる』
そのセリフの後は、決まって亡き母の自慢話だった
「母さんは綺麗な人だったんだぞ、おまけに強くてな─…」
そう延々と自慢話を聞かせたのち、最後にこう付け足す
「その鏡は母さんの形見だからな、いつも持ち歩けよ」
お守り袋に入れられた、掌におさまるくらいの小さな鏡
母さんの形見っていうなら、父さんがいつも持っていればいいじゃないか…
幼い頃、何度そう思ったことだろう
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