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その音に、李郁はハッとして慌ててお守り袋を拾う。
中の鏡が割れていないか確認する。
鏡はキラリと光を反射した。
「ふぅ、危ない危ない…」
幸い、鏡に傷は入っていない。
はぁ、とため息を漏らす。
これにひびでも入ろうものなら、父に何を言われるか分かったもんじゃない。
割れた事をネタに、きっと一生いびられるに決まっている。
幼い頃から日課の様に毎日毎日聞かされた母の事と同じ様に。
李郁はお守り袋のほこりをはらって、再び鏡を中に戻した。
「お守りにお願い事するってガラでもないんだけど…しかも中身が鏡って俺は女子かよ」
自分が置かれた状況を呪いながら、再び鏡を取り出して見つめた。
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