1 鏡とお守り袋

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その音に、李郁はハッとして慌ててお守り袋を拾う。 中の鏡が割れていないか確認する。 鏡はキラリと光を反射した。 「ふぅ、危ない危ない…」 幸い、鏡に傷は入っていない。 はぁ、とため息を漏らす。 これにひびでも入ろうものなら、父に何を言われるか分かったもんじゃない。 割れた事をネタに、きっと一生いびられるに決まっている。 幼い頃から日課の様に毎日毎日聞かされた母の事と同じ様に。 李郁はお守り袋のほこりをはらって、再び鏡を中に戻した。 「お守りにお願い事するってガラでもないんだけど…しかも中身が鏡って俺は女子かよ」 自分が置かれた状況を呪いながら、再び鏡を取り出して見つめた。
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