プロローグ

2/9
前へ
/241ページ
次へ
そこは鏡の世界─── 全てのものが鏡で出来ていた 家も壁も植物も……そして月でさえも、全身または一部に鏡を宿していた 本物の月の光を反射させて夜道を明るくした 植物は光を反射することで日陰にある仲間を助けた ──鏡はなくてはならないものだった そしてそれは人にとっても同じ事になってしまう 街を歩けば必ず何かに映った 振り返れば自分自分自分… 人々は自分の姿に絶望した 今の自分の姿に 人々の嘆きを聞き 一人の女神が光臨した 『鏡を創造しなさい 過去を 未来を 時空を映す鏡を──』 人々は鏡を造った 人々は鏡を求めた 過去を映し 自分達の行った罪を悔い改める為に 未来を映し 自分達の幸福な道を選び取る為に そして人々はいつしか「今」を忘れてしまった 沢山造られた鏡達は一人一人に違う未来を映した ──鏡に映された様に生きれば幸福になれる… その中でたった三つだけ時空を映す鏡が出来た 違う世界を映す鏡に人々は惹かれた たった三つしかないその鏡をめぐって争いが起きた 人もモンスターも全てのものが欲しがった 争いで三つの鏡のうち一つにひびがはいってしまった 争いで三つの鏡のうち一つが行方不明になってしまった 争いで三つの鏡のうち一つは女神に捧げられた そうして争いは終結した 全ては鏡からもたらされた そこは鏡の世界───
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加