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そこは鏡の世界───
全てのものが鏡で出来ていた
家も壁も植物も……そして月でさえも、全身または一部に鏡を宿していた
本物の月の光を反射させて夜道を明るくした
植物は光を反射することで日陰にある仲間を助けた
──鏡はなくてはならないものだった
そしてそれは人にとっても同じ事になってしまう
街を歩けば必ず何かに映った
振り返れば自分自分自分…
人々は自分の姿に絶望した
今の自分の姿に
人々の嘆きを聞き
一人の女神が光臨した
『鏡を創造しなさい
過去を 未来を 時空を映す鏡を──』
人々は鏡を造った
人々は鏡を求めた
過去を映し 自分達の行った罪を悔い改める為に
未来を映し 自分達の幸福な道を選び取る為に
そして人々はいつしか「今」を忘れてしまった
沢山造られた鏡達は一人一人に違う未来を映した
──鏡に映された様に生きれば幸福になれる…
その中でたった三つだけ時空を映す鏡が出来た
違う世界を映す鏡に人々は惹かれた
たった三つしかないその鏡をめぐって争いが起きた
人もモンスターも全てのものが欲しがった
争いで三つの鏡のうち一つにひびがはいってしまった
争いで三つの鏡のうち一つが行方不明になってしまった
争いで三つの鏡のうち一つは女神に捧げられた
そうして争いは終結した
全ては鏡からもたらされた
そこは鏡の世界───
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