一家の朝

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男はうなだれ、塊を引きずって次の部屋へ向かう。    〈ご用の方はノックを。〉のドアを二回ノックし  「翠(みどり)~?起きたか?」  そう問いかけると、少し遅れて  「大丈夫ですよ」  ガチャ、とドアが開き中から女の子が出てきた。  少しウェーブがかかった肩にかかるくらいの茶髪。丸い眼鏡にやや童顔でブレザーを着て  「おはようございます。緋色(ひいろ)お兄ちゃん」  「ん。おはよう翠」    「藍お姉ちゃん……は、またですか…」    「……ゥヴヴ…」    緋色の後ろの塊に気付き、若干引きつる翠。 相変わらず、塊からはまだうなり声が聞こえてくる。
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