†消える人々†

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2日前、先生が遺跡から発掘した古代人が作ったと思われる、石でできた人形のせいだ。それがテレビの隣の机の上に置かれている。しかも5体。 5体の人形は顔の表情が一つ一つ異なる。だけど5体共妙に人と似ていて、見ていると気味が悪い。 先生が言うには…… ~2日前~ 『これは実に素晴らしいよ。見ただけでも紀元前に作られたことがわかる。』 先生は僕に人形について説明してくれている。 『でも先生、この人形一つ一つ顔が違って見えますよ?昔の人は何か作るとき、統一的ではなかったんでしょうか?』 僕がそう言うと先生の目が光った。 『ルーク。良いところに気付いたね。』 『え?』 『これは古代人が人の感情をモチーフにして作った人形だと思うよ。』 『人の感情……ですか? そう言えば……、言われてみればそうですね。』 古過ぎてぱっと見ただけじゃ分からなかったけど、5体の人形をよく見てみると、「微笑み、怒り、泣いている、仰天、哀しみ」の5つの表情が人形にはあった。 『でもこの人形を作って何がしたかったんですか?』 『おそらく祭典などに使われていたんだろうけど、たぶん人類の共通点を予測して作られた物なんじゃないかな?』   『人類の共通点?この人形がですか?』 『うん。今現在、世界各国に独特の文化や言葉があって、これはそれぞれの国が作り出した素晴らしい宝だ。だけど“嬉しい”や“悲しい”などの感情を表現するときの表情だけは、世界共通なんだよ。』 『そうなんですか!?』 僕は驚きの声をあげた。 先生は続ける。
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